EASE-UP® Mシリーズ/医療研究用

Case3 
EASE-UP® (イーズアップ) Mシリーズ/
医療研究用

顧客とのやり取りで、より良い案を探る
「小動物用固定装置」の事例から

医療の研究現場では、小動物を用いた実験も多い。正確な実験結果を得るためには、小動物をきちんと固定した状態で扱うことが求められる。そんな実験を行いやすくしたのが「小動物用固定装置」だ。

開発ストーリー

“お客様のご依頼に、きめ細やかに対応する”

設計課西川 敬祐

“小動物の大きさに合わせて使える装置がほしい”

病気のメカニズムや治療法などを探る実証実験では、マウスに代表される小動物を使う。「小さなマウスに合わせて固定できる装置がない」。大学の研究室から、こんな依頼が寄せられた。成長した小動物を固定する装置があっても、生後間もない小動物に対応した装置がない、というのだ。

このため、発泡スチロールやセロテープなどで動物を固定していたが、適切な体の位置や角度で固定することが難しく、より細かく調整できる機器が求められていた。さっそく、設計課の西川敬祐らが、顧客のニーズの聞き取りを始めた。

初期の提案資料。分かりやすく図解した。

“図解マニュアルで分かりやすく”

小動物用固定装置の依頼から完成までに要した期間は2、3カ月。通常の機器の開発に比べると、格段に速かった。スムーズな意思疎通につながったのは、装置の構造を説明する絵だ。工業用の平坦な図面は、専門知識がないと、理解してもらうのに時間を要することがある。「立体的な絵にした方が、構造が伝わりやすい」と考えた。

聞き取りの結果、台の上に小動物を置き、頭部を両側から挟む構造にした。後頭部から注射をしやすいよう、台には傾斜をつけ、体全体と頭部のみ、それぞれの位置を調節できるようにした。素材は衛生的に使えるよう、水洗いができるステンレスを採用。台の下には、オプションでヒーターや冷却ユニットの設置を可能にした。また、研究者らが使用する際に戸惑わないよう、図解入りで見やすいマニュアルも作成した。

台の傾斜の角度を調節することができる

固定して後頭部から注射する

“気軽に相談をしてほしい”

完成した装置は現在、大学の研究室で使われている。積進では、理化学機器開発事業「イーズアップ」のために、京都市内にあるインキュベーション施設「クリエイション・コア京都御車」の一角にも開発の拠点を置き、大学や研究所からの問合せに対応している。「こんな器具がほしい」と思っていても、依頼を受けてくれる企業がなく、困っている研究者は大勢いる。

西川は言う。「『ちょっと困ったな、不便だな。何かいいアイデアがないかな』というぐらいの気持ちで一声かけていただければ、何かご提案できることがあるかもしれません。『なんか困ったな』という気持ちにふたをしてしまわずに、私どもに声をかけてほしい」。顧客とのやり取りの中で、常によりよい方法を探っていく。